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天神様菅原道真公のお話
第三十七話
その⑯天皇の師伝【後篇】


道眞は、 「かような大事は、よくよく時節をお考えになる必要があると存じます。そして唯今は、その時期でないと存じます。」

と、御思い止まらせられるよう申し上げました。道眞は、いい加減なことをいう人ではありませんでした。真剣に考えて、これがよい、こうが正しいと思うことを、心をこめて申し上げる人でした。真剣に考えて、これがよい、こうが正しいと思うことを、心をこめて申し上げる人でした。この時も、天皇は道眞の言葉をお聞きになって、御譲位遊ばされることを、御延期なさいました。

寛平九年になるとまた天皇は、御譲位遊ばされようとお考えになり、そのことを道眞におもらしになりました。道眞はこの度も、

「まだその時期でないと存じます。」

と申し上げました。

ところが、そのうち天皇の思し召しが、他の人々にもれたように思われだしました。そこで道眞は思いきって申し上げました。

「もはや人々の耳に入りました以上、あれこれなさいますと、その間に、悪いたくらみをする者が出ないとも限りません。そのことを考えますと、御譲位遊ばすほかはないと存じ上げます。」

宇多天皇は、これをお聞き遊ばされると、すぐ御譲位の御決心をなさいました。

道眞としては、真心を以って、よくよく考えた結果申し上げたことではありますが、御譲位をおすすめ申し上げることになって、なんだか相済まなくも思いました。そしてまた、自分の申し上げることを、お聞き下さる天皇の御心に、感激せずにはおられませんでした。

「この感激を以って、新しい天皇におつくし申し上げよう。」

と道眞は、自分の心に誓うのでありました。

新しく御位につかせられた 醍醐(だいご) 天皇は、その時、御年はわずかに十三であらせられました。宇多天皇は、もはや御位をお譲りになりましたから、これからは上皇と申し上げます。上皇は天皇に対して、万事にわたる御ねんごろな御誡(おんいましめ)の御言葉を、お授けになりました。

これを、『 寛平御遺戒(かんぴょうごゆいかい) 』と申します。寛平というのは、上皇の天皇にましました御代の年号で、上皇の御事を、寛平の帝とも申し上げますか、その帝のお残しになった御いましめというところから、『寛平御遺誡』と申すのであります。

その御遺誡の中には、道眞は 鴻儒(こうじゅ) である、すなわち大学者だと仰せられてありますし、また、道眞は朕の忠臣にあらず新君の功臣かとありまして、道眞を御信任なさるようにとの有難い思召がうかがわれます。お仕えしていた時のみか、次の天皇に対しても、かように仰せ出さるる宇多上皇の深い御信任と限りなき 御鴻恩(ごこうおん) に、道眞は、ただただ 感泣(かんきゅう) するばかりでありました。

「どうしたならば、この御恩にお報いいたすことが出来るだろうか。と。涙をぬぐって考える道眞でした。」

「いや、ほかにない。新しい天皇に対し奉り、あらん限りの力をつくしてお仕えする。そうだ、それ以外にない。それが上皇へのご恩報じだ。これが臣下としての自分の道だ。」

こう考えると、道眞の心は落ちつき、新しい元気が、腹の底に湧くのをおぼえました。

つづく



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菅原道眞公のお話 目次
第一話 其の①男子生まれる【前編】(10/2) 第二話 其の①男子生まれる【後編】(10/3)
第三話 其の②学者の家【前編】(10/4) 第四話 其の②学者の家【中編】(10/5)
第五話 其の②学者の家【後編】(10/6) 第六話 其の③双葉芳し【前編】(10/7)
第七話 其の③双葉芳し【後編】(10/9) 第八話 其の④月の桂【前編】(10/11)
第九話 其の④月の桂【後編】(10/13) 第十話 其の⑤文武を磨く【前編】(10/15)
第十一話 其の⑤文武を磨く【後編】(10/17) 第十二話 其の⑥官途につく【前編】(10/21)
第十三話 其の⑥官途につく【中編】(10/24) 第十四話 其の⑥官途につく【後篇】(10/28)
第十五話 其の⑦母をうしなう【前編】(10/30) 第十六話 其の⑦母をうしなう【後篇】(11/1)
第十七話 其の⑧文章博士【前編】(11/3) 第十八話 其の⑧文章博士【後篇】(11/6)
第十九話 其の⑨白氏に同じ【前篇】(11/8) 第二十話 其の⑨白氏に同じ【後篇】(11/10)
第二十一話 其の⑩讃岐に赴く【前編】(11/12) 第二十二話 其の⑩讃岐に赴く【後篇】(11/15)
第二十三話 其の⑪阿衡の儀【前編】(11/17) 第二十四話 其の⑪阿衡の儀【中編】(11/19)
第二十五話 其の⑪阿衡の儀【後編】(11/21) 第二十六話 其の⑫春立ちかえる【前編】(11/23)
第二十七話 其の⑫春立ちかえる【後篇】(11/25) 第二十八話 其の⑬歴史家道眞【前編】(11/27)
第二十九話 其の⑬歴史家道眞【中編】(11/30) 第三十話  其の⑬歴史家道眞【後編】(12/2)
第三十一話 其の⑭遣唐使を停む【前編】(12/4) 第三十二話 其の⑭遣唐使を停む【中編】(12/7)
第三十三話 其の⑭遣唐使を停む【後編】(12/13) 第三十四話 其の⑮知命の賀【前編】(12/15)
第三十五話 其の⑮知命の賀【後編】(12/18) 第三十六話 其の⑯天皇の師伝【前編】(12/21)
第三十七話 其の⑯天皇の師伝【後編】(12/26) 第三十八話 其の⑰大和への旅路【前編】(H.17/1/24)
第三十九話 其の⑰大和への旅路【後編】(1/24) 第四十話 其の⑱右大臣に昇る【前編】(1/29)
第四十一話其の⑱右大臣に昇る【後編】(2/9) 第四十二話其の⑲御衣を賜わる【前編】(2/14)
第四十三話其の⑲御衣を賜わる【後編】(4/15) 第四十四話其の⑳禍きたる【前編】(4/20)
第四十五話其の⑳禍きたる【後編】(4/21) 第四十六話其の21 流れゆく身【前編】(4/23)
第四十七話其の21流れゆく身【後編】(4/25) 第四十八話其の22明石の驛【前編】(5/4)
第四十九話其の23明石の驛【後編】(5/10) 第五十話其の24筑紫への道(7/5)

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